中央大学卒業までの軌跡

『法学部 通信教育課程』の卒業に向けての TIPS

科目試験の勉強方法

はじめに

私は、科目試験で主な単位を取得しました。

科目試験は60分の論述式の試験で、一定の合格ラインに達しないと単位取得ができないため、苦労される方も少なくないと思います。

実際、科目試験は単位が取りにくいという理由でスクーリングに参加される方も多いと思います。

とはいえ、都心で学習されている方はスクーリングに参加しやすいですが、地方で勉強されている方は、科目試験を突破して単位を習得することになるでしょう。

点数はともあれ、ここでは結果的に9割以上の合格率で各科目試験を突破できた私の対策方法を紹介したいと思います。

科目試験の種類

法律科目において科目試験の受験形式は、通常形式とオンデマンド形式になります。

通常の科目試験の出題は、科目試験の実施月にはくもん(掲示板)と一緒に在学生に送付されます。

一方、オンデマンド試験の出題はこの対象でないため、出題形式が分かりません。

それゆえ、通常の科目試験の受験コースでは、レポートが大変なものの過去問で出題傾向が掴めますが、オンデマンド試験では、レポート免除の恩恵は受けられるものの出題傾向が掴めないため、講義をしっかり受講する必要があります。

(周りに在学生がいれば、共有してもらえるかも知れませんが。)

試験対策方法

科目試験対策は、過去に出題された科目試験問題を攻略することが最大の対策です。

大体の科目試験は一定のルーチンで同じ問題が出題される傾向あるため、出題を予測します。

換言すると「山を貼る」とも取れると思いますが、貼る山(論点)が 5 ~ 7 になるので対策として十分だと認識しています。

全ての科目試験とまでは言えませんが、 9 割の科目試験はこの方法で対策が可能です。

一方、オンデマンド試験については出題の傾向が分からないため、このような対策が取れません。

体感的に、中盤で講義内容が厚くなっているところは対策をする必要あり、事例問題が出題されることは無く「〇〇○について説明せよ。」といった出題が多かった気がします。

他にも、スクーリング試験では、担当教員によっては冒頭で出題範囲を提示してくれることもあります。

出題は 1 〜 2 日目から出題されることが多いで、講義に集中することが試験合格のカギです。

稀に 3 日目の講義から出題する講師もいるので、油断は禁物です。

出題の優先順位と具体的な対策方法

ここからは具体的な対策方法について紹介します。

まず、過去 6 回分の科目試験の問題を洗い出します。

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民事執行・保全法の出題例

洗い出してみると複数回出題される問題があるので、出題回数に応じて優先順位を決定します。

もっとも、前回出題されている問題については出題傾向が低いので、優先順位を下げます。 (むしろ自分は対策しなかった)

このように、過去問を分析すると絞るべき論点が 5 つくらいに絞られるため、対策が容易になります。

さて、次は具体的な対策方法についてになります。

過去問を洗い出した時点で気付くと思いますが、出題傾向を大別すると以下の 2 パターンになります。

  • 一行問題
  • 事例問題

以下、それぞれの対策について紹介します。

一行問題での対策

一行問題の主題形式としては、

  • 〇〇○について説明せよ。
  • 〇〇○について論ぜよ。

といった出題パターンになります。

一行問題での対策として重要な点は、原則と例外のパターンを押さえることが非常に重要です。

また、テーマとなっている法律用語の定義、周辺の条文の解釈は確実に押さえる必要があります。

答案の流れとしては、

1. 意義の説明(テーマのスタート)
2. 原則パターン
   ・ 基本条文解釈
   ・ 基本条文操作
3. 例外パターン(但書など)
   ・ 問題提起(原則パターンで対処できない問題となることが多々)
   ・ 学説での見解
   ・ 判例での見解
   ・ 自身の見解
4. まとめ

といったシナリオになることが多いので、各項目についてまとめることがポイントになります。

なお、レポート課題と重複する場合は一度見直すと良いと思います。

事例問題での対策

事例問題での出題の場合、出題元には最高裁でのリーディングケースで学説と判例の見解の対立がある事例が出題される傾向にあります。

試験対策のインプットとしては、判例百選がメインのインプットになります。

答案のポイントとしては、

  • 問題となる事案の背景
  • 判例の見解
  • 学説の見解
  • 自身の見解(あてはめの指針)

になります。

判例百選の「判旨」と「解説」に詳しく記載されている場合が多く、判旨で重要な言い回しは暗記します。

答案の流れとしては、

1. 問題提起
   ・ 定義の説明
   ・ 基本条文操作
   ・ 問題となる背景・理由
2. 問題に対する見解を提示
   ・ 判例の見解
   ・ 学説の見解
   ・ 自身の見解
3. 規範定立
4. あてはめ
5. まとめ

といったシナリオになり、どういう見解を主張するか自身の理由付けをすることが得点のリソースになると思います。

また、特に元ネタになっている判例を知っているアピールをすることも重要だと思うので、判例の言い回しは引用で正確に記述することもポイントです。

正確に民集刑集などの出典を記載することは厳しいので、「最高裁平成〇〇年〇〇月〇〇日〇〇法廷判決」まで記載できればベターかと思います。

あくまでも私の評価実感なので参考程度にして頂ければと。

科目試験の計画

私の場合、科目試験の着手時期は、受験科目数週間前から着手しました。

各科目で対策する論点が 5 ~ 7 論点なので、1 日 1 論点のペースで注力します。

1 年目の時は、答案の書き方も分からなかったので、大体 1 ヶ月前を目安に試験勉強を始めていたこともあります。

社会人は基本的な可処分時間が限られるので、夜(早朝)に論点をまとめ、移動時間や昼休みにインプットしました。

試験当日も不安があれば、早め行って会場の自習室でインプットを続けます。  

答案について

科目試験では、自分が記述できるスピードを把握することが重要です。

初学者の時のことは忘れてしまいましたが、私の場合は、

  • 25 分で答案表面
  • 50 分で答案裏面 2 / 3

で記述できたので、それを元にペース配分をしていました。

スクリーング試験では「なるべく答案量が多い方が良い」と仰っていた講師の方もいたので、答案量は多ければベターだと思います。

これも評価実感ですが、表面前面くらいの答案量は合格に必要なラインだと感じました。

失敗した科目試験

これまで紹介させて頂いた対策方法は、あくまで 1 つのやり方に過ぎず過去問にはない問題も出題されることがあります。

  • 出題者が変更になる場合
  • 教科書が変更になる場合

など出題傾向が変わることがあるので、手厚く勉強する必要があります。

科目 受験回数 敗因
民法2(物権) 2 過去問を対策していなかった。
倒産処理法 3 新規の問題が出題された。対策が不十分だった。
商法(商行為法) 3 新規の問題が出題された。
英語B 2 何も対策しなかった。

このように、全く知らない問題も出題されるとツラいので日頃の勉強も重要です。

最後に

科目試験は絶対評価なので、ある程度自身がないと会場に向かう足取りが重くなります。

事実、自分も過去に「次もあるから今回は・・・」と受験を見送ったこともあります。

しかし、後半の科目になると実施する時限が重複してきたり、卒業までの計画に支障がでるため自身がなくでも受けざるを得ない状況になります。

実際、そのような状況で知らない問題に直面しても、日頃の勉強で得た知識を元に該当条文探し、趣旨を考えて基本に沿って論述して合格できた科目もいくつもあります。

万が一失敗しても試験は年 4 回あるので、ダメなら次回で合格すれば良いのです。

司法試験みたいに年 1 回実施ではないので、チャンスはたくさんあります。

自身が無くても試験を受けてみること」に尽きると思います。